東京レジリエンス

言葉に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。

腐った脳で行ってしまった、

先月、土曜日に某バンドのライブに行くことになっていた。

それは元から行く予定だったから心の準備はできていたけど、私は彼らのワンマンライブは初めてだった。

フェスでしょっちゅう聴いている彼らは、とにかくまずボーカルが爽やかで、究極の塩顔なんだけど声がイケメンすぎて、今の現存する日本のボーカリストで最も爽やかなヤサオトコの声だと思う。CMや映画のタイアップのたくさんある、好感度の高い爽やかなロックバンド。

 

バンドは4人編成。

華奢な金髪クレイジーキャラのドラムと、常識人のギター、爽やかイケボのボーカル、クセのあるベース。おそらく日本で最も巧いベーシストだけど、何というか、性格が悪いわけではなく、とにかくドS。攻撃的というか、存在感がありすぎて。奏でる音がうねうねしていて、どうやって音を出しているのかわからない時がたまにある。(それはバンド全体がそうで、どう考えても6人くらいいないと出ない音を奏でていることがよくある。)

 

さて、その日私の脳は腐っていた。

私は1,2週間前からPIXIV小説に突然どハマりして、R-18のタグのついた某ゲームの二次創作小説を延々と読んでいた。

これが良くなかった、おそらく。

当日は日中に用事があってJR中央線立川駅から会場である海浜幕張まで向かったのだが、路線図を見てもらうとわかると思う、東京横断で千葉の海の方まで行く2時間くらいの電車旅。

その間もずっと読んでいた。難しい顔をして。腐ったPIXIV小説を。

だからこの日私の脳は腐っていた。

物事をR-18に変換するAIをオンにしたまま幕張メッセに乗り込んでしまった。

爽やかなJロックを軽やかに堪能しようと思っていたから、それがオンだと思ってもいなくて、完全に油断していた。

 

R-18の腐った脳にその音楽が刺激は強すぎた。

絶好調なボーカルの王子様ボイス。狂乱するドラム、攻めてくるベース。うっかりその間を取り持っているギター。なんだかもうベースとボーカルの相反する雰囲気に動揺した。どうしよう。リズム隊がエロい。ボーカルが爽やか。もし、ギターも爽やかにステータス全振りしたらまたバランスが違ってたのに。こちらは絶妙に華やかだった。キャラは常識人なのにね。大人か。大人の色気か。大人が1人いたせいで、ステージ上はもう完璧に濃度の濃すぎる空間になってしまった。

私の中に、爽やかさとエロさのキャパのコップがあるとしたら、もうじゃばじゃばにオーバーフローしている状態だった。なんだこれは。精神が均衡を保てない。

これが、攻めすぎてるリズム隊にボーカルが食われていればまだ逆の意味でバランスが取れていただろうに、幸か不幸かボーカルが天才だった。両方が400%くらいだった。致死量を超えていて、息ができない。

深紅のビロードでカバーされた天蓋付きベッドに、きちんとボタンを留めた白シャツの塩顔がいたら動揺しない?

首まで埋められて身動き取れない状態でそんな濃厚な空気を吸っている感覚。

酸素濃度が高すぎて息が止まった。そして爽やかなものとエロいものを並べて置いてしまうと、それがあまりに相反してしまうと人はうろたえる。少なくとも私はうろたえた。未成年にこんなライブ見せていいのか。大人への扉開いちゃうぞ。え、まだ早いんじゃない。

 

3時間くらいのライブの間、ずっと生き埋めで酸素の足りない金魚の気持ちだった。

足りないのは私の脳みそだったかもしれない。ほぼ腐ってたし。